2. プロジェクトの計画(3/17)~スコープの定義~

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2-3 スコープの定義

概要

プロジェクトの範囲を定義することによって,目標,要求事項,成果物及び作業を含むプロジェクトスコープを明確にし,スコープ規定書や要求事項を作成する。要求事項に不安定性があり,初期段階にスコープ定義の確定やステークホルダとの合意が困難な場合は,段階的な要求事項の探索や合意形成などの対応が必要である。
この対応において顧客に価値を確実に提供するためには,要求事項と提供する価値との関係性を明らかにして,要求事項の優先順位を決定する尺度を提供する価値の大きさとするなどの工夫も必要である。
プロジェクトスコープ規定書は,将来のプロジェクトの決定,並びにプロジェクトの重要性及びプロジェクトの遂行によって創出する価値を伝達するためのベースとして使用する。

スコープ規定書とは

プロジェクトにおけるスコープ規定書(プロジェクトスコープステートメント)は、プロジェクトの範囲を明確に定義し、管理するための文書です。この文書は、プロジェクトの成功を確実にするために必要な作業内容や成果物を明確にし、プロジェクトの進行中に発生する可能性のある変更に対応するための基礎を提供します。スコープ規定書には以下の要素が含まれることが一般的です。

スコープ規定書の要素

No 要素 説明
1 プロジェクトの目的と目標 プロジェクトが達成しようとしている目的と具体的な目標を明確に記述します。
2 成果物の記述 プロジェクトの完了時に提供される具体的な成果物(製品、サービス、結果など)を詳細に記述します。
3 制約条件 プロジェクトの進行に影響を与える制約(予算、スケジュール、リソースなど)を明示します。
4 前提条件 プロジェクト計画の基礎となる前提条件(技術的な前提、リソースの可用性など)を記述します。
5 スコープの境界 プロジェクトのスコープに含まれる作業と含まれない作業を明確に区別します。
6 受け入れ基準 プロジェクトの成果物が受け入れられるための基準を定義します。
7 プロジェクト除外事項 プロジェクトのスコープから除外される事項や作業を明示します。
8 スコープ管理プロセス スコープの変更管理手順やスコープの進捗管理方法を記述します。

スコープ規定書は、プロジェクトマネージャーやチームメンバー、ステークホルダーにとって重要な指針となり、プロジェクトの範囲を明確にし、すべての関係者が共通の理解を持つことを助けます。これにより、プロジェクトの目的達成に向けた一貫した努力が可能となり、変更管理が効果的に行われるようになります。