2-7 プロジェクト組織の定義
概要
プロジェクトに関係する全てのステークホルダのプロジェクトに関連する役割,責任及び権限を,プロジェクトの特徴及び複雑さに従って定義する。また,組織の迅速な意思決定に向けて,組織の枠にとらわれずに,ステークホルダとプロジェクトチームとで直接コミュニケーションが可能な共創関係となるように定義する必要がある。プロジェクト組織の構造は,プロジェクトを取り巻く環境やプロジェクトの状況によって修整する。
プロジェクトチームの全てのメンバー及びプロジェクトの作業に直接関係するその他の人々を特定する。また,プロジェクト作業を確実に実施するメンバーを選定し,ワークパッケージ(WP)に割り当てて,役割規定書で役割,責任及び権限を明確にする。責任には説明責任と実行責任がある。
プロジェクトの目的の実現には,プロジェクトチーム全体が責任をもつ。権限は,その一部を他のメンバーに委譲することができ,当該メンバーは移譲された範囲で権限を行使して,自分の作業の完了に責任を負う。その際,自らの意思と判断に基づいて作業を完了させるセルフリーダーシップの発揮が求められる。必要に応じて,外部の組織やプロジェクト外のメンバーなどに対してシステム開発作業の一部を委託したり,情報の提供,技術的コンサルティング,レビュー実施の協力を要請したりする。
また,迅速に顧客へ価値を提供するために,成果物の引渡しやシステムのリリース作業を,組織内でプロジェクトと運用・保守組織とでどのように分担するかを明確にする。これらをプロジェクトの組織図として作成する。
- 引用
- 情報処理推進機構 「プロジェクトマネージャ試験(レベル4)シラバス- 情報処理技術者試験における知識・技能の細目 Ver.7.1(2023年12月25日掲載)
- https://www.ipa.go.jp/shiken/syllabus/nq6ept00000014gb-att/syllabus_pm_ver7_1.pdf
責任分担マトリクス
責任分担マトリックスは、プロジェクト管理や組織内の業務の効率的な実行を支援するためのツールの1つです。このマトリックスは、プロジェクトや業務に関わる個々のタスクや活動に対して、誰がその責任を負い、誰が関与するかを明確に示します。主な役割と関連するタスクや活動が明確化され、コミュニケーションと協力を促進します。
責任分担マトリックスには通常、次のような要素が含まれます:
- 行動項目またはタスク: 完了するべき具体的な作業や活動がリストされます。
- 役割または職位: 各行動項目やタスクに関連付けられた役割や職位が示されます。これにはプロジェクトマネージャーやチームメンバーなどが含まれます。
- 責任の種類: 通常、以下のような責任の種類が定義されます。
要素 | 説明 |
---|---|
R (Responsible) | 実際に作業を行い、その成果を提供する人。 |
A (Accountable) | 責任者。作業の完了や品質に最終的な責任を持つ人。 |
C (Consulted) | アドバイスや意見を求められる人。通常はコミュニケーションや情報提供に関与します。 |
I (Informed) | 作業や決定に関する情報を受け取る人。 |
責任分担マトリックスは、プロジェクトの進行や業務の実行を支援するだけでなく、役割と責任の不明確さや重複を防ぎ、チームのメンバーが彼らの役割と責任を理解しやすくします。これにより、チームの効率性と効果的なコラボレーションが促進されます。