2-12 予算の作成
概要
プロジェクトの総コストをWBSの該当する適切なレベルに配分して,プロジェクト全体のコストのベースラインを確定する。コストの見積りがプロジェクトの総コストを決定するのに対して,予算の作成はどこでいつコストを使うかを特定する。コストベースラインは,コストパフォーマンスをマネジメントする基準である。コストパフォーマンスを測る尺度は,成果物の開発によって創出される価値とするなど,プロジェクトの特徴に合わせて設定する必要がある。
経営層による管理又は特定したリスクに対応する目的で,必要に応じて活動又はその他の作業スコープに割り当てられない引当金又は予備費項目を作成する。スコープや要求事項の頻繁な変更が想定される場合には,これらの変更に対応して予算をステークホルダと迅速に調整し変更できるように,手順をあらかじめ定めておく。
- 引用
- 情報処理推進機構 「プロジェクトマネージャ試験(レベル4)シラバス- 情報処理技術者試験における知識・技能の細目 Ver.7.1(2023年12月25日掲載)
- https://www.ipa.go.jp/shiken/syllabus/nq6ept00000014gb-att/syllabus_pm_ver7_1.pdf
予算の作成について
プロジェクトの予算作成は、プロジェクト管理における重要なプロセスの一つであり、プロジェクトの成功を確保するために欠かせません。以下に、プロジェクトの予算作成プロセスについて詳しく説明します。
1. コスト見積りの収集
- コスト見積りは、プロジェクトで必要な各活動や作業のコストを計算するプロセスです。これには、人件費、資材費、設備費、外注費など、すべてのリソースにかかるコストが含まれます。
- この段階では、通常、各作業パッケージやアクティビティレベルでの見積もりが行われます。
2. コスト見積りの合算
- 個別の作業や活動ごとに見積もられたコストを集計し、プロジェクト全体のコストを算出します。
- この合算されたコストが、プロジェクトの総コストとして定義されます。
3. 予算配分
- プロジェクトの総コストを、プロジェクト計画の異なる部分に割り当てます。これを予算配分といいます。
- WBS(作業分解構造)のレベルに応じて、どの作業パッケージやフェーズにどれだけの予算を配分するかを決定します。
- 予算配分では、いつ、どこでコストを使用するかを具体的に決定することが求められます。
4. コストベースラインの設定
- コストベースラインは、プロジェクトの進捗を監視し、コストパフォーマンスを評価するための基準です。
- このベースラインは、計画された予算を時系列に沿ってプロットしたもので、プロジェクトの開始から終了までのすべてのコストを含んでいます。
5. 予備費の設定
- プロジェクトにおける不確実性やリスクに対応するために、予備費(コンティンジェンシー費用や管理予備)を設定します。
- これらの予備費は、特定の活動に割り当てられることなく、予期しないコストの発生に備えて準備されます。
6. コスト管理計画の策定
- 予算が確定したら、その後のコスト管理の方法を計画します。これには、コストの監視・コントロール、報告の手順、予算の調整手続きなどが含まれます。
- スコープの変更や予期せぬ問題により、予算の変更が必要になる場合に備えて、ステークホルダーと合意した手続きや承認プロセスを設定します。
7. 定期的な予算レビュー
- プロジェクトが進行するにつれて、実際の支出と予算を定期的にレビューし、差異を分析します。
- 必要に応じて予算の再調整を行い、プロジェクトの目標を達成するために必要な資金が確保されるようにします。
まとめ
予算作成は、プロジェクトの財務的健全性を維持し、資金の無駄を防ぐための重要なステップです。プロジェクトが予定通り、予算内で進行するためには、正確なコスト見積り、適切な予算配分、そして継続的なコスト管理が不可欠です。