3-1 プロジェクト作業の指揮
概要
プロジェクトの目的の実現と成果物の開発に向けて,プロジェクト計画に定義したプロジェクト作業の遂行をマネジメントする。プロジェクトの実行におけるスコープ,スケジュール,資源利用,コスト,品質,組織運営,メンバー,調達,リスクについて作業が,個別的にも全体的にも円滑に推移するようプロジェクト作業を指揮する。
プロジェクト作業の指揮は,特定個人の権限に基づいて行われる場合があるが,権限だけでは不十分なときがある。
特に,プロジェクトの環境の急激な変化や不確かさの度合いが強い場合は,プロジェクトチームのメンバー全員が自律的に貢献することでプロジェクトを成功に導けるようなリーダーシップが必要である。リーダーシップはプロジェクトチームの特定の役割に限定されるものではなく,いずれのメンバーも発揮すべきものである。
プロジェクトの状況によって効果的なリーダーシップのスタイルを選択する。効果的なリーダーシップによって,プロジェクトチームは高いパフォーマンスを発揮する。プロジェクト作業のパフォーマンスを測定する尺度は,作業によって顧客に価値を提供した結果の評価,価値の創出に寄与した度合いなど,プロジェクトの特徴や目的に応じて設定する。プロジェクト内の様々な技術的,運営管理的及び組織的な問題に対処して計画したプロジェクト活動を遂行する。
- 引用元
- 情報処理推進機構 「プロジェクトマネージャ試験(レベル4)シラバス- 情報処理技術者試験における知識・技能の細目 Ver.7.1(2023年12月25日掲載)
- https://www.ipa.go.jp/shiken/syllabus/nq6ept00000014gb-att/syllabus_pm_ver7_1.pdf
200字要約
プロジェクトの目的達成と成果物開発のため、スコープ、スケジュール、資源、コスト、品質などを管理し、円滑に作業を進める。特定個人の権限で指揮する場合もあるが、環境変化が激しい場合、全員が自律的に貢献できるリーダーシップが求められる。リーダーシップは特定の役割に限定されず、全メンバーが発揮すべきである。効果的なリーダーシップにより、チームは高いパフォーマンスを発揮し、顧客に価値を提供する。
リーダーシップのスタイル
プロジェクトにおけるリーダーシップのスタイルには以下のようなものがあります。
スタイル | 説明 |
---|---|
指示型リーダーシップ(Autocratic Leadership) | リーダーが明確な指示を出し、メンバーに従わせるスタイル。意思決定が迅速で、一貫性が保たれますが、メンバーの自主性や創造性が抑えられることがあります。 |
参加型リーダーシップ(Democratic Leadership) | リーダーがメンバーの意見を取り入れ、共同で意思決定を行うスタイル。チームの協力と創造性を促進しますが、意思決定に時間がかかることがあります。 |
支援型リーダーシップ(Supportive Leadership) | リーダーがメンバーをサポートし、働きやすい環境を提供するスタイル。チームの士気や満足度が向上しますが、過度に依存する場合があります。 |
達成志向型リーダーシップ(Achievement-Oriented Leadership) | リーダーが高い目標を設定し、メンバーに挑戦を促すスタイル。目標達成の意識が高まり、成果が出やすいですが、ストレスが増す可能性もあります。 |
変革型リーダーシップ(Transformational Leadership) | リーダーがビジョンを提示し、メンバーを鼓舞して変革を推進するスタイル。チームの意欲を高め、組織の革新を促進しますが、リーダーの影響力に依存しやすいです。 |
サーバントリーダーシップ(Servant Leadership) | リーダーがメンバーのニーズを優先し、成長と成功を支援するスタイル。チームの信頼と協力が深まり、長期的な成長が期待できますが、リーダーの負担が増すことがあります。 |
コーチング型リーダーシップ(Coaching Leadership) | リーダーがメンバーのスキルや能力を伸ばすための指導を行うスタイル。個々の成長が促進され、チーム全体のパフォーマンスが向上しますが、リーダーに時間とスキルが求められます。 |
ライズ・フェア型リーダーシップ(Laissez-Faire Leadership) | リーダーがチームに自主性を与え、介入を最小限にするスタイル。メンバーが自律的に動くことで創造性が発揮されますが、リーダーシップが欠如すると混乱が生じることがあります。 |