3-3 プロジェクトチームの開発
概要
継続的にプロジェクトチームのメンバーのパフォーマンス及び相互関係を改善し,プロジェクトチームの意識を統一して,活力と主体性のあるプロジェクトチームを開発する。さらに,プロジェクトチームとチームメンバーのパフォーマンス及び相互関係を改善するように必要な教育・訓練にコストと時間を投入する。また,チームメンバーの心身の健康を管理する。チームとしてパフォーマンスを継続して改善するためには,個々のメンバーが得意分野をもち,かつ広い範囲の作業がこなせるように育成する必要がある。これによってメンバーは,チームのパフォーマンスを向上させるスキルをもち,相互信頼をベースとして自律的にプロジェクトをマネジメントできるようになる。また,顧客に価値を提供するために必要となる全てのスキルを一つのチーム内に備えることを目指すことも必要になる。適切な行動の基本原則を,プロジェクトの早い時期に確立することで,誤解を最小限に,また対立を適切な範囲にとどめることができる。
- 引用元
- 情報処理推進機構 「プロジェクトマネージャ試験(レベル4)シラバス- 情報処理技術者試験における知識・技能の細目 Ver.7.1(2023年12月25日掲載)
- https://www.ipa.go.jp/shiken/syllabus/nq6ept00000014gb-att/syllabus_pm_ver7_1.pdf
200字要約
プロジェクトチームのパフォーマンスと相互関係を改善し、統一感と主体性を持つチームを育成するため、教育や訓練にコストと時間を投入し、メンバーの健康も管理する。メンバーが得意分野を持ち、広範な作業をこなせるよう育成し、自律的なマネジメントと相互信頼を築く。また、顧客に必要なスキルをチーム内に備えることを目指し、初期段階で基本原則を確立することで、誤解や対立を抑える。
プロジェクトチームの開発について
プロジェクトチームの開発において、以下の要点を踏まえて説明します。
1. パフォーマンスと相互関係の継続的改善
プロジェクトチームは、単にプロジェクトの成果を達成するだけでなく、メンバー同士のパフォーマンスと相互の信頼関係を絶えず向上させることが重要です。このため、チーム全体の意識を統一し、活力と主体性を持たせるための取り組みが必要です。
- 定期的なフィードバック:メンバーそれぞれのパフォーマンスに対してフィードバックを行い、改善点や成果を共有する。
- 相互信頼の強化:透明なコミュニケーションを促進し、メンバー間の信頼を構築することが重要です。
2. 教育・訓練への投資
チームのパフォーマンスとメンバーの成長を促すため、教育やトレーニングに時間とコストをかけることが大切です。これにより、個々のメンバーがスキルを高め、チーム全体としての機動力が向上します。
- 専門スキルの育成:メンバーそれぞれの専門性を伸ばし、チーム内での役割分担を円滑にします。
- 広範なスキルの習得:特定のスキルに限定されることなく、メンバーが複数の分野をカバーできるようにし、プロジェクトの進行を円滑にします。
3. メンバーの健康管理
チームの成果を上げるためには、メンバーの心身の健康を管理することが欠かせません。これにより、モチベーションを維持し、ストレスや疲労からくるパフォーマンス低下を防ぐことができます。
- メンタルヘルスのサポート:定期的なケアや相談の機会を提供し、メンバーが安心して働ける環境を整えます。
- フィジカルヘルスの維持:過度な負担がかからないよう、適切な休息やワークライフバランスを意識します。
4. メンバーのスキル育成と相互信頼の強化
メンバーが得意分野を持ちつつ、広範な業務をカバーできるように育成することが、チームのパフォーマンス向上に繋がります。このように多様なスキルを持つメンバーが、相互信頼の基盤の上で自律的にプロジェクトをマネジメントできるようにします。
- クロスファンクショナルスキル:メンバーが自分の専門分野だけでなく、他の業務も理解できるように育て、必要に応じて助け合える体制を作ります。
- 自律的なプロジェクト管理:メンバーが個別に責任を持ち、リーダーシップを発揮できるようにすることで、プロジェクトの進行をスムーズにします。
5. チーム内に必要なスキルを揃える
顧客に価値を提供するために必要なスキルをチーム内で揃えることが、プロジェクトの成功に直結します。チームは、プロジェクトに必要な全ての要素を自己完結的に持つことを目指します。
- 顧客視点の統合:チーム全体で顧客のニーズを理解し、それに応じた行動を取れるような体制を築く。
- スキルバランスの最適化:技術的なスキルからコミュニケーションスキルまで、幅広いスキルをチーム内でバランスよく配置する。
6. 行動の基本原則を確立する
プロジェクトの初期段階で、適切な行動の基本原則を定めることは、誤解や対立を未然に防ぐために重要です。これにより、チーム内の協力関係がスムーズに機能し、衝突が起こっても適切に対応できるようになります。
- 共通の価値観を作る:チームの目標や行動の指針を全員で共有し、同じ方向に進むようにします。
- 衝突管理のスキル:問題が発生した際にも冷静に対処し、建設的な解決策を見つける力を養います。
このようなプロセスを通じて、持続的に成長し、自律的に高いパフォーマンスを発揮できるプロジェクトチームが開発されます。