4-3 スコープの管理
概要
スコープの変更によって生じる,プロジェクトの目標の達成にプラスとなることがある潜在的リスク(機会)の影響を最大化し,マイナスとなることがある潜在的リスク(脅威)の影響を最小化して,スコープベースラインへの変更をマネジメントする。
承認されたスコープのベースラインと現在のスコープを比較して,今後のスコープを予測して,スコープへの脅威となる影響を抑えるために,全ての適切な変更要求を実行する。
変更が頻発する場合には,要求事項の収集,スコープの定義,WBS の作成,スコープの検証,スコープの管理が迅速に繰り返されるように対応する。
この繰返しの過程で,要求事項の安定性を高めて要求事項の優先順位付けを見直す。
脅威がプロジェクトへの影響が少ないものであれば,スコープ内の問題として対応策を考え,そのために必要な作業量や資源を見積もり,影響度を見極めて問題を解決する。
脅威が計画変更を必要とするものであれば,定められた変更管理の手続に従って適切な変更要求をして,ステークホルダの承認を得てスコープの変更を実施する。
- 引用元
- 情報処理推進機構 「プロジェクトマネージャ試験(レベル4)シラバス- 情報処理技術者試験における知識・技能の細目 Ver.7.1(2023年12月25日掲載)
- https://www.ipa.go.jp/shiken/syllabus/nq6ept00000014gb-att/syllabus_pm_ver7_1.pdf
200字要約
スコープ変更に伴う機会を最大化し、脅威を最小化するため、スコープベースラインを管理する。承認済みスコープと現状を比較し、適切な変更要求を実行する。変更が頻発する場合は、要求の収集・定義・WBS作成・検証・管理を迅速に繰り返し、要求の安定性や優先順位を見直す。影響が小さい脅威はスコープ内で解決し、必要な作業量や資源を見積もる。計画変更が必要な脅威は、変更管理手続を経て承認を得た上で対応する。
プロジェクトのスコープ管理について
プロジェクトのスコープ管理とは、プロジェクトの成果物や作業範囲を適切に定義し、変更が発生した場合にその影響を最小限に抑えながら、プロジェクト目標を達成するための管理手法です。スコープ変更によるリスクには、プロジェクトにとってプラスとなる「機会」と、マイナスとなる「脅威」があります。スコープ管理では、これらのリスクを適切にコントロールし、プロジェクトを円滑に進めることが求められます。
1. スコープ変更の影響管理
スコープ変更が発生した場合、以下の手順で管理を行います:
- 機会の最大化:スコープ変更によって新たな価値が生まれる場合、その影響を最大限活用し、プロジェクト目標の達成に役立てる。
- 脅威の最小化:スコープ変更によるリスクがプロジェクトに悪影響を与える可能性がある場合、その影響を抑え、適切な変更管理を実施する。
2. スコープベースラインの維持と変更管理
- スコープベースラインの比較
承認されたスコープベースラインと現状のスコープを定期的に比較し、進捗や変更の影響を評価する。 - 変更要求の適切な実行
変更の影響を予測し、スコープへの脅威を抑えるために、必要な変更要求を適切に実行する。
3. 変更が頻発する場合の対応
変更が頻繁に発生する場合、以下のプロセスを迅速に繰り返しながら管理を行う:
- 要求事項の収集:新たな要件や変更要求を整理する。
- スコープの定義:変更内容を明確化し、プロジェクト目標との整合性を確認する。
- WBS(作業分解構成図)の作成:変更がプロジェクトのタスクに与える影響を分析し、作業計画を更新する。
- スコープの検証:ステークホルダーと合意し、スコープ変更が適切であることを確認する。
- スコープの管理:変更が適切に反映されるよう、全体のスコープを継続的に監視・調整する。
この繰り返しの中で、要求事項の安定性を高め、優先順位を見直すことが重要となる。
4. リスクに応じた対応策
- 影響が小さい脅威への対応
- スコープ内で解決可能な場合、適切な対応策を考案する。
- 必要な作業量や資源を見積もり、問題解決の影響度を評価する。
- 計画変更が必要な脅威への対応
- 変更管理プロセスに従い、適切な変更要求を提出する。
- ステークホルダーの承認を得た上で、スコープの変更を実施する。
まとめ
プロジェクトのスコープ管理では、スコープの変更がもたらす影響を適切に評価し、リスクをコントロールしながら、プロジェクト目標を達成することが求められます。変更の発生に柔軟に対応しつつも、計画の安定性を維持することで、プロジェクト全体の成功につなげることができます。