5. プロジェクトの終結(2/2)~得た教訓の収集~

プロジェクトマネージャ関連

5-2 得た教訓の収集

概要

現在のプロジェクト及び将来のプロジェクトにおける標準値,障害対応などへの参照情報とするために,また,教訓として役立てるために,プロジェクトを評価して,その結果を含めて分析結果をデータベース化して経験を収集する。
プロジェクトライフサイクルのプロジェクトフェーズで適宜収集してきたメンバーの投入工数,資源の配分量,作業期間,品質,コスト,リスク登録簿,承認された変更,懸案事項などに関する情報を収集し,活動別,プロジェクトフェーズ別,プロジェクト内のチーム別に分類して集計する。
これらを基に,終結時点でのプロジェクト計画と実績の差異分析を行う。
また,プロジェクト完了後の評価指標に基づいて,顧客の満足度及び価値の提供に関すること,プロジェクト作業や成果物の品質に関すること,プロジェクトチームによって得られた成果に関すること,メンバーの能力や協調体制に関すること,プロジェクトマネジメントの方法に関すること,などを評価する。
プロジェクトで望ましい成果が得られなかった場合は,他のプロジェクト又は次のプロジェクトフェーズ以降での改善策を作成し,より良質な成果が得られるよう評価結果を有効に利用する。
また,プロジェクトの目標の一部若しくは全てが達成できなかった場合は,目標未達成の根本原因を特定して,再発防止の対応策を作成する。
これらを教訓として組織で共有し,組織のプロジェクトマネジメント力の向上につなげる。

200字要約

プロジェクトの評価結果をデータベース化し、標準値や障害対応の参照情報、教訓として活用する。ライフサイクル各フェーズで収集した工数、資源配分、期間、品質、コスト、リスクなどを分類・集計し、計画との差異分析を行う。完了後は満足度や品質、チームの成果、マネジメント手法を評価し、未達成の目標があれば原因を特定し改善策を作成。これらを組織で共有し、プロジェクトマネジメント力の向上に役立てる。

プロジェクトの得た教訓の収集は、組織のプロジェクトマネジメント能力を向上させるために不可欠なプロセスです。以下に、プロジェクトから教訓を収集する具体的な方法と、その活用について説明します。

1. 情報の収集と整理

  • プロジェクトライフサイクル全体からの情報収集:
    • プロジェクトの各フェーズで、メンバーの投入工数、資源の配分量、作業期間、品質、コスト、リスク登録簿、承認された変更、懸案事項などの情報を収集します。
    • これらの情報を活動別、プロジェクトフェーズ別、チーム別に分類して集計します。
  • 計画と実績の差異分析:
    • 収集した情報を基に、プロジェクト計画と実績の差異を分析します。
    • 差異が発生した原因を特定し、今後のプロジェクトに役立てるための教訓を抽出します。
  • プロジェクト完了後の評価:
    • 顧客満足度、価値提供、成果物の品質、チームの成果、メンバーの能力、プロジェクトマネジメント方法など、事前に設定した評価指標に基づいてプロジェクトを評価します。

2. 教訓の抽出と分析

  • 望ましくない結果からの教訓:
    • プロジェクトで望ましい成果が得られなかった場合は、改善策を作成し、次のプロジェクトフェーズ以降で活用します。
  • 目標未達成の根本原因分析:
    • プロジェクト目標の一部または全部が達成できなかった場合は、根本原因を特定し、再発防止策を作成します。
  • 経験のデータベース化:
    • 分析結果をデータベース化し、将来のプロジェクトで参照できるようにします。
    • 標準値、障害対応などの参照情報として活用します。

3. 教訓の共有と活用

  • 組織内での共有:
    • 抽出された教訓を組織内で共有し、プロジェクトマネジメントのベストプラクティスとして活用します。
  • プロジェクトマネジメント力の向上:
    • 教訓を組織全体で活用することで、プロジェクトマネジメント力を向上させ、より質の高い成果を生み出すことを目指します。

教訓収集の重要性

  • 過去のプロジェクトの成功・失敗から学び、組織の知識を蓄積できます。
  • 同様の問題の再発を防止し、プロジェクトの効率と品質を向上させます。
  • プロジェクトマネージャーやチームメンバーのスキルアップに貢献します。
  • 組織全体のプロジェクトマネジメント成熟度を高めます。

プロジェクトの教訓を体系的に収集、分析、共有することで、組織は継続的に成長し、より成功するプロジェクトを実現できます。