3. システム監査の報告(7/7)~年度報告書の作成~

システム監査技術者

3-7 年度報告書の作成

概要

年度計画に対応して,当年度に実施した結果を年度報告書として作成する。システム監査部門の 1 年間の活動状況を年度報告書に記載し,トップマネジメントに対して報告する。年度報告書には,年度計画で計画された事項に対する結果として,監査業務の実施状況,特記すべき重要な指摘事項及びその改善状況,システム監査技術者の推移,システム監査技術者の教育・訓練活動の状況,システム監査に関わる予算の執行状況,次年度の監査計画に反映させるべき課題などの事項を記述する。

【システム監査における年度報告書の作成について】

システム監査部門では、年度計画に基づいて実施した監査活動の総括として、年度報告書を作成します。
これは、トップマネジメントに対して1年間の監査活動全体を報告する公式文書であり、経営層の戦略的意思決定や次年度の監査計画策定に資する重要な資料です。

1. 【年度報告書の目的】

  • 年度監査活動の成果を経営層へ正確に報告し、リスク管理や内部統制強化の基盤とする。
  • 次年度の監査活動の改善や計画立案に役立つフィードバックを提供する。
  • システム監査の継続的改善サイクル(PDCA)の一環として機能する。

2. 【年度報告書の主な記載内容】

項目 内容
① 監査業務の実施状況 年度計画に基づき、どの監査をいつ・どのように実施したか、実施件数・達成状況など。
② 重要な指摘事項とその改善状況 年度内で特に重要とされた指摘事項、およびその改善提案と実施状況を報告。
③ システム監査技術者の推移 監査に従事した技術者の人数、資格保有者の変動、体制の変化などを記載。
④ 教育・訓練活動 技術者への**スキルアップ施策(研修・セミナー参加など)**の実績と内容。
⑤ 予算の執行状況 システム監査に割り当てられた予算の実績と消化状況を明示。
⑥ 次年度への課題・提案 本年度監査を通じて判明した課題、次年度に反映すべき事項、改善提案など。

3. 【作成のタイミングと提出先】

  • 年度終了後、できるだけ早期に作成し、トップマネジメントに提出。
  • 作成時は、監査記録、改善報告、各種会議資料等のエビデンスを確認し、正確性を担保する。
  • 場合によっては、監査委員会や内部統制委員会等にも共有される。

4. 【作成時の留意点】

  • トップマネジメント向けの資料であるため、専門用語の使用は必要最小限にし、わかりやすくまとめる
  • 重要な指摘事項や課題は、経営課題との関連性やリスクレベルの視点で強調する。
  • 数値・実績・改善効果などは、可能な限り定量的に記述する。

【まとめ】

  • 年度報告書は、システム監査部門の1年間の活動実績を総括し、経営層に報告する文書である。
  • 記載内容には、監査実施状況、重要な指摘事項、改善状況、技術者体制、教育・予算状況、次年度への提案が含まれる。
  • トップマネジメントにとっての意思決定資料としての役割も大きく、正確性と分かりやすさが求められる。