4. システム監査業務の管理(1/4)~進捗管理~

システム監査技術者

4-1 進捗管理

概要

年度計画,個別監査計画,監査手続で計画された事項が,円滑かつ確実に遂行されるように,進捗管理を行う。進捗管理は,監査スケジュールの進捗状況,完了見込みの可能性,監査体制(監査要員・分担など)の見直しなどの視点から行う。

要求される知識

・ 年度計画に関する知識
・ 個別監査計画に関する知識
・ 監査手続に関する知識
・ システム監査プロジェクト管理に関する知識
・ システム監査の作業分析に関する知識
・ システム監査の手順に関する知識

要求される技能

・ 年度計画を理解し,それに従って監査業務を遂行する能力
・ 個別監査計画を理解し,それに従って監査業務を実行する能力
・ 監査手続を理解し,それに従って実行する能力
・ 重大な発見事項があった場合,トップマネジメントの視点から,その重要性及び緊急性を判断する能力
・ 個別監査計画,監査手続の見直しを検討し,実行する能力
・ システム監査技術者を育成する能力

【システム監査における進捗管理について】

システム監査においては、年度計画・個別監査計画・監査手続で定められた内容が、円滑かつ確実に遂行されるように進捗管理を行うことが重要です。
進捗管理は、監査プロセス全体をコントロールし、監査の品質・効率・期日厳守を担保する手段です。

1. 【進捗管理の目的】

  • 監査活動の計画と実行とのギャップを把握し、問題があれば即座に対応する。
  • 監査期限までに高品質な監査を完了させるため、状況を可視化し、調整する。
  • 必要に応じて監査体制やスケジュールの見直しを行い、柔軟に対応できる体制を維持する。

2. 【進捗管理の視点と主な内容】

視点 管理内容
スケジュールの進捗状況 年度計画や個別監査計画に基づいて、監査の各工程が計画通りに進んでいるかを確認する(監査準備、実地監査、報告書作成など)。
完了見込みの可能性 現在の進捗状況を踏まえ、期限内に監査を完了できるかを予測し、リスクを早期に把握する。
監査体制の見直し 進捗に遅れが見られる場合は、監査要員の再配置や作業分担の見直しを行い、体制を強化する。
課題・障害の早期発見と対処 作業の遅延・情報不足・関係部門との連携不備などの課題を速やかに特定し、是正策を講じる

3. 【進捗管理の方法】

  • 進捗管理表(ガントチャートなど)を用い、各監査工程のステータスを可視化。
  • 定期的な進捗会議(監査チーム内)で状況共有・対策検討を実施。
  • 必要に応じて、監査責任者による現場レビューや、進捗報告のエスカレーションを行う。
  • 監査管理ツールやプロジェクト管理ソフトを活用することで、情報の一元化・更新の効率化を図る。

4. 【留意点】

  • 監査品質の確保と納期遵守の両立を目指すこと。
  • 監査対象部門との連携により、情報入手や現地対応のスムーズ化を意識する。
  • 進捗に遅延が生じた場合、原因分析を明確にし、再発防止策を検討する。

【まとめ】

  • システム監査の進捗管理は、計画通りに監査を遂行するための不可欠な活動である。
  • スケジュール、完了見込み、体制面の見直しといった視点から、状況を常に把握し、柔軟な対応を行うことが重要である。
  • 進捗管理を適切に行うことで、監査の信頼性と組織の内部統制の強化につながる。