4-3 監査業務の改善
概要
監査業務の作業実績値などを集計し,計画値との対比を行い,差異がある場合には,その原因を分析する。また,個別監査計画及び監査手続の改善点,システム監査技法の有効性や効率性の評価などを行って,その結果を参考にして監査業務の改善を図る。
要求される知識
・ 監査業務(監査手順を含む)の分析に関する知識
・ システム監査の動向に関する知識
・ 情報技術の動向に関する知識
・ 情報収集技法に関する知識
・ システム監査技法に関する知識
・ コンピュータ支援監査技法(CAAT:データ分析ツール,電子調書システム,AI(生成AIを含む)を用いた監査)に関する知識
・ 業務プロセスに関する知識(業務プロセスを改善して監査の効率化を推進する知識)
・ アプリケーションシステムに関する知識(アプリケーションシステムの機能を利用して監査業務の改善を図る知識)
要求される技能
・ 監査業務を分析する能力
・ 情報技術の動向を的確に把握する能力
・ システム監査の動向を的確に把握する能力
・ コンピュータ支援監査技法(CAAT:データ分析ツール,電子調書システム,AI(生成AIを含む)を用いた監査)を導入し,利用する能力
・ 適切な監査技法を導入し,利用する能力
・ 業務プロセスの視点から監査業務を改善する能力
・ 監査業務の効率性を改善する能力
- 引用元
- 情報処理推進機構 「システム監査技術者試験(レベル4)シラバス- 情報処理技術者試験における知識・技能の細目 Ver.6.1(2023年12月25日掲載)
- https://www.ipa.go.jp/shiken/syllabus/nq6ept00000014b0-att/syllabus_au_ver6_1.pdf
【システム監査の監査業務の改善について】
システム監査の業務をより良くするためには、実績と計画の比較分析や、監査プロセス自体の見直しを通じて、業務の問題点や改善点を明確にし、次回以降に活かすことが重要です。
1. 実績値と計画値の対比・分析
- 監査業務の作業実績(時間、コスト、工数など)を集計し、それを年度計画や個別監査計画などの計画値と比較します。
- 差異がある場合には、その原因を明確に分析します(例:想定外の工数増、関係部門との調整不足、非効率な手続など)。
- この分析結果は、次回以降の計画策定や手続設計の参考資料として活用します。
2. 個別監査計画・監査手続の見直し
- 各監査ごとに、計画内容や手続が実務に適していたか、効果的だったかを評価します。
- 不要な作業、重複手続、過度に詳細な確認がなかったかを振り返り、必要に応じて計画や手続の見直しを行います。
3. システム監査技法の評価
-
使用した監査技法(ツール、分析手法、インタビュー方法など)について、有効性と効率性を検証します。
- 例:データ分析ツールの精度、質問票の回答率、ログ分析の有効性など
- 技法に問題や非効率があった場合は、新たな技法の導入や改善を検討します。
4. 改善内容の反映と継続的改善
- これらの分析・評価の結果をもとに、次回以降の監査業務に反映し、より質の高い監査を目指します。
- 改善の対象は、業務プロセスだけでなく、人材育成、ツールの導入、関係者との調整方法など多岐に渡ります。
【まとめ】
システム監査の監査業務の改善とは:
- 実績と計画を比較し、差異の原因を分析すること
- 監査計画・手続・技法の有効性と効率性を評価すること
- 評価結果を基に、次回以降の監査に活かすこと
このように、PDCAサイクルを回しながら継続的に見直し・改善していくことが、システム監査の品質と信頼性を向上させるための鍵となります。