4. システム監査業務の管理(3/4)~監査業務の改善~

システム監査技術者

4-3 監査業務の改善

概要

監査業務の作業実績値などを集計し,計画値との対比を行い,差異がある場合には,その原因を分析する。また,個別監査計画及び監査手続の改善点,システム監査技法の有効性や効率性の評価などを行って,その結果を参考にして監査業務の改善を図る。

要求される知識

・ 監査業務(監査手順を含む)の分析に関する知識
・ システム監査の動向に関する知識
・ 情報技術の動向に関する知識
・ 情報収集技法に関する知識
・ システム監査技法に関する知識
・ コンピュータ支援監査技法(CAAT:データ分析ツール,電子調書システム,AI(生成AIを含む)を用いた監査)に関する知識
・ 業務プロセスに関する知識(業務プロセスを改善して監査の効率化を推進する知識)
・ アプリケーションシステムに関する知識(アプリケーションシステムの機能を利用して監査業務の改善を図る知識)

要求される技能

・ 監査業務を分析する能力
・ 情報技術の動向を的確に把握する能力
・ システム監査の動向を的確に把握する能力
・ コンピュータ支援監査技法(CAAT:データ分析ツール,電子調書システム,AI(生成AIを含む)を用いた監査)を導入し,利用する能力
・ 適切な監査技法を導入し,利用する能力
・ 業務プロセスの視点から監査業務を改善する能力
・ 監査業務の効率性を改善する能力

【システム監査の監査業務の改善について】

システム監査の業務をより良くするためには、実績と計画の比較分析や、監査プロセス自体の見直しを通じて、業務の問題点や改善点を明確にし、次回以降に活かすことが重要です。

1. 実績値と計画値の対比・分析

  • 監査業務の作業実績(時間、コスト、工数など)を集計し、それを年度計画や個別監査計画などの計画値と比較します。
  • 差異がある場合には、その原因を明確に分析します(例:想定外の工数増、関係部門との調整不足、非効率な手続など)。
  • この分析結果は、次回以降の計画策定や手続設計の参考資料として活用します。

2. 個別監査計画・監査手続の見直し

  • 各監査ごとに、計画内容や手続が実務に適していたか、効果的だったかを評価します。
  • 不要な作業、重複手続、過度に詳細な確認がなかったかを振り返り、必要に応じて計画や手続の見直しを行います。

3. システム監査技法の評価

  • 使用した監査技法(ツール、分析手法、インタビュー方法など)について、有効性と効率性を検証します。

    • 例:データ分析ツールの精度、質問票の回答率、ログ分析の有効性など
  • 技法に問題や非効率があった場合は、新たな技法の導入や改善を検討します。

4. 改善内容の反映と継続的改善

  • これらの分析・評価の結果をもとに、次回以降の監査業務に反映し、より質の高い監査を目指します。
  • 改善の対象は、業務プロセスだけでなく、人材育成、ツールの導入、関係者との調整方法など多岐に渡ります。

【まとめ】

システム監査の監査業務の改善とは:

  • 実績と計画を比較し、差異の原因を分析すること
  • 監査計画・手続・技法の有効性と効率性を評価すること
  • 評価結果を基に、次回以降の監査に活かすこと

このように、PDCAサイクルを回しながら継続的に見直し・改善していくことが、システム監査の品質と信頼性を向上させるための鍵となります。