4-8 リスクの管理
概要
一定期間内におけるリスクへの対応の実施状況から,特定したリスクの追跡,新たなリスクの特定及び評価,コンティンジェンシー計画の発動条件の監視及びリスクへの対応の有効性を評価しながら,リスクへの対応の進捗をレビューする。
プロジェクトリスクは,プロジェクトライフサイクルを通じて定期的に評価する。
さらに,新たなリスクが出現したとき又はマイルストーンに達したときに評価する。
また,プロジェクトの進捗とともに必要に応じて実態に適合するように,リスクの特定とリスクの評価の結果,リスク発生に対する基本的な方針,リスクへの対応の内容を変更する。
頻繁にシステムをリリースする場合には,リリースの都度,リスクへの対応の有効性も評価し,必要ならば以降のリリースに向けて改善を図る。
さらに,プロジェクトチームのリスクに関わる認識の共有を促進して,リスクマネジメントのパフォーマンスを向上させるようにする。
- 引用元
- 情報処理推進機構 「プロジェクトマネージャ試験(レベル4)シラバス- 情報処理技術者試験における知識・技能の細目 Ver.7.1(2023年12月25日掲載)
- https://www.ipa.go.jp/shiken/syllabus/nq6ept00000014gb-att/syllabus_pm_ver7_1.pdf
200字要約
リスク対応の進捗は、一定期間ごとに実施状況を確認し、特定リスクの追跡や新たなリスクの評価を行いながらレビューする。プロジェクトリスクはライフサイクル全体で定期的に評価し、新たなリスク発生時やマイルストーン到達時にも見直す。進捗に応じてリスク対応の方針や内容を適宜修正し、頻繁なリリース時には対応の有効性を評価・改善する。さらに、チーム内でリスク認識を共有し、リスクマネジメントの向上を図る。
プロジェクトのリスク管理について
プロジェクトのリスク管理とは、プロジェクトの進行に伴い発生する可能性のあるリスクを特定・評価し、それに適切に対応することで、プロジェクトの成功確率を高める活動です。以下の観点から、リスク管理の進め方を説明します。
1. リスク対応の進捗レビュー
一定期間ごとに、リスク対応の実施状況を確認し、次の点をレビューします。
- 既に特定されたリスクがどの程度管理されているか(追跡)
- 新たなリスクが発生していないか(リスクの特定と評価)
- 事前に定めたコンティンジェンシープラン(緊急対応計画)の発動条件が整っていないか(監視)
- 実施したリスク対応策の有効性(改善の必要性)
このようなレビューを通じて、プロジェクト全体のリスク管理状況を継続的に改善します。
2. プロジェクトライフサイクル全体でのリスク評価
リスクは、プロジェクトの開始時だけでなく、プロジェクトライフサイクルを通じて定期的に評価することが重要です。加えて、以下のようなタイミングで追加のリスク評価を行います。
- 新たなリスクが発生したとき(例えば、市場環境の変化や技術的な問題の発生)
- プロジェクトのマイルストーンに達したとき(例えば、要件定義の完了、システム設計の完了など)
3. リスク管理計画の適応的な更新
プロジェクトの進行とともに、以下の要素を必要に応じて更新し、現実に即したリスク管理を行います。
- リスクの特定・評価の結果
- リスク発生に対する基本方針
- リスク対応策の内容
特に、頻繁にシステムをリリースする場合は、リリースのたびにリスク対応の有効性を評価し、次回リリースに向けて改善を行うことが重要です。
4. プロジェクトチームでのリスク認識の共有
プロジェクトチーム全体でリスクに関する認識を共有し、リスクマネジメントのパフォーマンスを向上させることも大切です。
- 定期的なリスクレビュー会議の実施
- リスク管理ツールを活用した情報共有
- リスク対応のベストプラクティスの蓄積と活用
これにより、プロジェクトメンバー全員がリスクへの意識を高め、リスク管理が円滑に行われるようになります。
まとめ
プロジェクトのリスク管理は、継続的なリスクの特定・評価・対応の見直しを通じて、プロジェクトの成功率を高めるための活動です。特に、定期的な評価、新たなリスクの識別、リスク対応の有効性の確認、チームでの認識共有を意識しながら、適応的に管理を進めることが求められます。