5-1 プロジェクトフェーズ又はプロジェクトの終結
概要
プロジェクトフェーズ又はプロジェクトを終結するために,供給者からの調達品の検収も含め,全ての最終成果物に関する機能,性能,品質などを検証してプロジェクトの全てのプロセス及び活動の完了を確認する。
プロジェクトの終結時点では,終結に影響しないと判断された問題を除き,他の問題は全て解決され,また,承認された変更要求への対応が終了していることを確認する。
プロジェクトに関する全ての成果物をステークホルダに引き渡し,ステークホルダによる検収作業に,適時,適切に対応する。
また,残された全ての問題を記録して引継ぎが可能な状態にしておく。
プロジェクトによって開発された成果物は,運用組織又は保守組織に引き渡す。
ステークホルダがプロジェクトの提供する価値を必要としなくなった場合,又は段階的に価値を提供するプロジェクトの途中で顧客の期待が充足された場合,プロジェクトは完了前に中止する。
また,一部若しくは全てのプロジェクトの目標が達成できないことが明らかになった場合は,組織のプロジェクトの終結基準に従ってプロジェクトの継続又は中止が決められる。
探索的なアプローチなどを選択して不確かさに対応しながら実行するプロジェクトでは,目標が達成できないことが明らかになった場合に,その結果をプロジェクトの目的の実現に向けての学習の機会,成果と捉えて,別のアプローチを選択したり,新たな目標を設定したりして,プロジェクトを継続することがある。
プロジェクトフェーズの終結の場合は,当該プロジェクトフェーズの終結を確認して,ステークホルダに当該プロジェクトフェーズの終結及び次のプロジェクトフェーズの開始の承認を得る。
全てのプロジェクトの情報は組織で定められた管理標準に従って収集,保管した上で,ステークホルダにプロジェクトの終結を報告し承認を得て,プロジェクトの全ての活動を完了し,全てのプロジェクトメンバー及び資源を解放してプロジェクトは終了する。
- 引用元
- 情報処理推進機構 「プロジェクトマネージャ試験(レベル4)シラバス- 情報処理技術者試験における知識・技能の細目 Ver.7.1(2023年12月25日掲載)
- https://www.ipa.go.jp/shiken/syllabus/nq6ept00000014gb-att/syllabus_pm_ver7_1.pdf
200字要約
プロジェクト終結時には、全成果物の機能・性能・品質を検証し、全プロセスの完了を確認する。未解決の問題を除き、変更要求への対応を終え、成果物をステークホルダへ引き渡す。必要に応じ運用・保守組織へ移管し、記録を残す。価値が不要となった場合や目標未達が明確な場合は、基準に従い継続可否を判断する。プロジェクトフェーズの終結時には承認を得る。全情報を管理標準に基づき保管し、最終承認後、メンバーと資源を解放し終了する。
プロジェクトフェーズの終結とプロジェクトの終結は、プロジェクト管理において重要な節目です。以下に、それぞれの終結について詳しく説明します。
プロジェクトフェーズの終結
プロジェクトは、複数のフェーズに分割して管理されることがあります。各フェーズの終結では、以下の活動が行われます。
- フェーズの成果物の検証:
- 当該フェーズで作成された成果物の機能、性能、品質などを検証し、完了を確認します。
- 供給者からの調達品がある場合は、その検収も行います。
- 問題の解決と変更要求への対応:
- フェーズ中に発生した問題を解決し、承認された変更要求への対応が完了していることを確認します。
- 終結に影響しないと判断された問題を除き、全ての問題を解決します。
- 成果物の引き渡しと検収:
- 当該フェーズの成果物をステークホルダーに引き渡し、検収作業に適切に対応します。
- 問題の記録と引継ぎ:
- 残された問題を記録し、次のフェーズへの引継ぎが可能な状態にします。
- フェーズ終結の承認:
- 当該フェーズの終結を確認し、ステークホルダーから次のフェーズ開始の承認を得ます。
プロジェクトの終結
プロジェクト全体の終結では、以下の活動が行われます。
- 最終成果物の検証:
- プロジェクトの全ての最終成果物について、機能、性能、品質などを検証し、全てのプロセスと活動の完了を確認します。
- 問題の解決と変更要求への対応:
- プロジェクト中に発生した全ての問題を解決し、承認された変更要求への対応が完了していることを確認します。
- 成果物の引き渡しと検収:
- プロジェクトに関する全ての成果物をステークホルダーに引き渡し、検収作業に適切に対応します。
- 成果物の運用・保守組織への引継ぎ:
- プロジェクトで開発された成果物を、運用組織または保守組織に引き渡します。
- プロジェクトの中止:
- ステークホルダーがプロジェクトの提供する価値を必要としなくなった場合、またはプロジェクトの目標達成が不可能になった場合は、プロジェクトを中止することがあります。
- 探索的なプロジェクトの場合は、目標達成が不可能になった場合でも、結果を学習機会と捉え、別のアプローチで継続することがあります。
- プロジェクト終結の報告と承認:
- 全てのプロジェクト情報を組織の管理標準に従って収集・保管し、ステークホルダーにプロジェクトの終結を報告し、承認を得ます。
- プロジェクトの完了:
- 全ての活動を完了し、全てのプロジェクトメンバーと資源を解放して、プロジェクトを終了します。
重要なポイント
- プロジェクトフェーズの終結とプロジェクトの終結は、それぞれ異なる目的と範囲を持ちます。
- どちらの終結においても、成果物の検証、問題の解決、ステークホルダーとの連携が重要です。
- プロジェクトの中止は、状況に応じて適切な判断が必要です。
- プロジェクトの終結では、プロジェクトで得られた知識や経験を組織の資産として蓄積することも重要です。
これらの終結プロセスを適切に実施することで、プロジェクトの成功と組織の成長に繋がります。