3-4 リスクへの対応
概要
プロジェクトの目標の達成にプラスの影響を与えることのある潜在的リスク(機会)を生かして,マイナスの影響を与えることがある潜在的リスク(脅威)を抑えるために,選択肢を作成して対策を決定する。
プロジェクトの環境の急激な変化や高い不確かさを伴う場合には,プロジェクトの進捗に伴い繰り返しリスクへの対応の結果を評価して,再度リスクの特定,リスクの評価を経て対策の内容を更新する。また,不確かさの特性に応じて,適切な対応策を立案する必要がある。
資源を投入して活動するために,予算とスケジュールに必要な処置を施してリスクに対応する。リスクへの対応は,そのリスクにとって適切であり,費用対効果が高く,タイムリで現実的であり,ステークホルダに理解され,そして適正なメンバーに割り当てられるようにする。また,リスクへの対応の優先順位を定めてその作業量を見積もり,それをスケジュールに盛り込む。また,リスク発生時のコンティンジェンシー計画(緊急時対応計画)やその発動条件を規定する。
脅威のリスクへの対応には,リスクの回避,軽減,転嫁又はリスクを受容してそのリスクが発生したときに使用するコンティンジェンシー計画の作成の判断が含まれる。
- 引用元
- 情報処理推進機構 「プロジェクトマネージャ試験(レベル4)シラバス- 情報処理技術者試験における知識・技能の細目 Ver.7.1(2023年12月25日掲載)
- https://www.ipa.go.jp/shiken/syllabus/nq6ept00000014gb-att/syllabus_pm_ver7_1.pdf
200字要約
プロジェクトの目標達成に影響を与えるリスクに対し、機会は活かし、脅威は抑えるための対策を決定する。環境の変化や不確かさが高い場合は、リスク対応を繰り返し評価・更新し、適切な対応策を立案する。リスク対応は費用対効果が高く、現実的でタイムリーに行い、ステークホルダに理解される必要がある。リスク対応の優先順位を決め、スケジュールに組み込み、脅威への対応策として回避、軽減、転嫁、受容を選択し、緊急時対応計画を策定する。
リスクマネジメント手順
リスクマネジメント手順は、プロジェクトの成功を確保するために不可欠なプロセスです。以下にその手順を詳しく説明します:
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リスクの特定:
- プロジェクトに存在する潜在的なリスクを特定します。これには、プロジェクトチームや関係者とのディスカッション、過去の類似プロジェクトからの教訓の収集、リスクの識別ワークショップなどが含まれます。
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リスクの優先順位付け:
- 各リスクについて、「発生する確率」と「発生した場合の影響の大きさ」を評価し、リスクを優先順位付けします。可能であれば、リスクが発生する時期も予測します。
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定量的な分析:
- リスクの影響や発生確率を数値化し、定量的な分析手法を使用してリスクを評価することが有益な場合があります。これには、量的リスク分析やシミュレーション手法が含まれます。
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予防的対策:
- リスクを回避するための対策、転嫁するための対策、軽減するための対策、またはリスクを受容するための対策など、適切な予防的対策を考えます。これには、リスクを軽減するための計画の策定やリスク保険の検討などが含まれます。
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事後対応策:
- リスクが発生した場合に備えて、事後対応策を考えます。これには、緊急対応計画の策定や影響を最小限に抑えるための手順の準備などが含まれます。
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リスクの監視と対応:
- 設定したリスクを定期的に監視し、必要に応じて対応します。リスクが発生した場合は、事前に計画した対応策に従って適切に対処します。また、プロジェクトの進行状況や新たなリスクの発生に注意を払い、必要に応じてリスクマネジメント計画を更新します。
この手順に従うことで、プロジェクトチームはリスクをより効果的に管理し、プロジェクトの成功を確保するための適切な対策を講じることができます。